
最終回は「毎日食べることのリスク」についてです。
今回の食についての話は、そもそも思っていた以上に「毎日決まって食べるものがある」「頻繁に食べているものがある」という方が多く、そのことが気になったことが発端でした。
「毎日食べることのリスク」と書きましたが、もちろん同じものを毎日食べたからといって、何の問題も起こらない場合も多々あると思います。
けれど、日々皆さんのお体に触れていて「何か食生活に問題があって不調が起こっているな」と感じることがたまにあります。
私の場合、そこからその方とお話しして何か可能性のあるものを探っていきますが、二宮整体の創始者である二宮先生はそれが何の食べ物であるかまでぴたりと当てられたそうです。
(例えば、「ピーナッツの食べ過ぎですよ」「チョコレートは控えてくださいね」と・・・一日60名以上もの方々のお体をみてきた熟練の職人技ですね)
毎日の食生活をお伺いして、気になるのは例えばこんなことです。
・毎日食パン又は麺類を食べる
・青汁を欠かさず飲んでいる
・毎朝、リンゴと人参の自家製スムージーを作る
・仕事の日はいつも、間食としてバナナとナッツを持っていく
・料理の彩りとしていつもトマトを添える
・乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ)が大好き
・コーヒーを一日何杯も飲む
・・・などなど。
同じものを毎日、ということは欠かさず食べるとすると年間365回食べていることになります。
これは体にとって自然なことでしょうか?
100年前を想像してみてください。
今のように物流や保存(冷蔵や密封など)がこれ程発達していなかった頃は、いわゆる「地産地消」や「旬のものを食べること」が普通だったことでしょう。
海外からの輸入食材は今ほど気軽に手に入るものではなかったでしょうし、旬を外れた食材はあまり食べていなかったはずです。
けれど、100年前は馴染みのなかった食材が、今では遠い国からでも安く入ってきます。例えば、バナナ・オレンジ・アボガド・ナッツ・コーヒーなどはスーパーでいつでも気軽に手に入ります。
また、キュウリ・茄子・トマト・レタス・人参・南瓜・リンゴなど・・・ハウス栽培などの技術によって「旬」という概念が薄れ、一年中買うことのできる食材が沢山あります。
もちろん食材の幅が広がることは楽しく、便利でもあります。
でも、昔は意識しなくてもあまり手に入らなかったり、旬が過ぎれば買えなくなったりしたものが、いつでも置いてあるということになると、選ぶ側が意識しておかないと偏りやすくなります。
量的・質的な食べ過ぎだけでなく、そうした特定の食べ物の食べ過ぎも、極々些細なサインではあっても背骨の状態に現れ、時として他の不調の原因になるということです。
一日のうちに何品目もの食材をあれこれ食べる必要はないと思いますが、色々なものを偏りなく食べることは、そうした食べ物による不具合を招くリスクを減らせます。
同じ食材の食べ過ぎを知らせてくれるように、人の体には「飽きる」という面白い機能が備わっています。
「キウィ」が体にいいというテレビを見てから、毎朝家族に食べさせていたとお話してくれた方がいました。そうしたらある日、娘さんに「もうキウィはたくさん!!」と怒られて、それきり食卓には出さなくなったそうです。
娘さんは、ちゃんとキウィに「飽きた」のですね^^
つまり、体にとって食べ物には「適量」というものがあります。
あまり同じものばかり食べると、体に不都合があるから、防衛本能として備わっている感覚なのだと思います。
一番無害な水でさえ、大量に飲み過ぎれば不調をきたします。
体には「し過ぎること」が良くない、というのは仕事や睡眠など様々なことに当てはまります。
感覚を敏感に保っていれば、本能で「し過ぎること」を防げますが・・・「飽きる」という感覚は、大体子どもの方が敏感で、大人は鈍っていることが往々にしてあります。
だから、毎日食べているものがあるという方は一度「飽きていないか?」「体は嫌がっていないか?」自分の感覚に意識を向けて、確認してみてほしいと思います。
体は健康な状態にあれば、不要なものを分解し排泄してくれるので、本当はそこまで神経質に考える必要はありません。
ただ、体に不調を感じているときにはそうした機能が低下していることが多いので、食を見直すことで良い変化が起こることもあります。
今回は春の時期に向けたテーマのはずが、すっかり初夏になってしまいました^^;